みずほ病院

第1回 糖尿病教室■

みずほ病院で初めての糖尿病教室が平成24年1月28日土曜日、病院1階のロビーで開かれました。
今回は第1回ということで、当院医師 越野慶隆 が講師として糖尿病の捉え方についてのお話をしました。

その後、出席していただいた皆様でティータイム(雑談タイム?)となりました。

糖尿病教室の様子と越野医師のお話の内容をまとめました。
図や写真をクリックすると大きい画像が表示されます。

☆みずほ病院 越野慶隆医師のお話☆

医者になって結構経ちますが、昔、糖尿病の先生に私の間違いを指摘されました。この間違いは私だけでなく、ひょっとしてみなさんも思い間違えているんじゃないかと思いまして、この糖尿病教室で話をさせていただきます。

糖尿病教室
今日の内容ですが、まず糖尿病についての理解、私が若いころの思い違いをお話しします。
2番目、糖尿病の治療の目的です。これも少し私は思い間違いをしておりました。
そして糖尿病の腎臓障害の治療について。これはこの15年ほど前から急に進んできた領域です。これについてもお話しします。
最後に、この病院にも糖尿病から透析されている方がおいでます。透析になっても元気にやっていけるのはどういう方か。それについて少しお話しします。

私が医者になりたての頃、糖尿病とは「血糖が高くなる病気」「糖分を取り過ぎた人がなる病気」「放って置くと目や神経や腎臓がやられていく。それがたいへん恐ろしい合併症である」「それらはインスリン不足でなる病気」と思っていました。
これは原則全て正しく、今も昔も変わっておりません。
糖尿病教室
ある日、患者さんについて糖尿病の偉い先生の前で話をする機会がありました。「この患者にはこの薬が効いた」「この薬をやっても全然ダメだったから次はこの薬をやろう」という話をしていたんですが、その偉い先生(現在の医療センター院長)から「越野君、君は糖尿病をどういう病気だと考えているのかね。君はわかっとらんな」と言われました。
その時は、どういうことなんだろうなと思いましたが、糖尿病というのは持って生まれた素質、それに環境が加わって病気が出てくる。という事です。
素質は生まれ持ったものですから、そう簡単には変わりません。そうするとこの環境を変える必要がある。この環境要因というのが非常に大事なんだ、と。そういう考え方を持たないと、糖尿病の治療はできない。そういうことを言われたわけなんです。 糖尿病教室
これをちょっと譬えます。受験勉強だとしましょう。東大に入るためには頭がいい事は大事です。しかしどんなに頭が良くても勉強しないと成績はよくならない。
勉強だけでなくスポーツでもいいでしょう。ダルビッシュやイチローのように、持って生まれた素質も大事です。しかし一生懸命練習しないと大リーガーになれない。
糖尿病もこの理屈で考えて欲しい。考えなければならないというわけです。

では素質とはどういうことかというと、インスリンの限界が人によって違うということです。例えばお相撲さんは体重が100kg、150kgもあります。しかし糖尿病になる人もいればならない人もいます。これは持って生まれたものの差なんです。インスリンの効果に差がある。
これは最近良く言われるんですけど、インスリンがたくさん出ているけど効きが悪いという人もいます。そしてインスリンが早く出なくなる。年を取ってからのインスリンの出方に差が出てくる。持っても生まれたものなら生まれた時から病気になるのかというとそうでもなく(1型は別です)、40歳、50歳になって糖尿病になる。この素質は持って生まれたものなので自分の責任ではありません。
糖尿病教室

しかし環境、これは各人の責任によって良くできます。
悪い環境というのは「太ること」「運動不足」「甘いモノや繊維質の少ないものを食べる、あるいは脂肪分をたくさん食べる」「他の病気がある」。そして糖尿病を更に悪化させるものとして「タバコとお酒」があります。
これらは各人の努力して改善できます。

糖尿病教室様子

糖尿病の患者さんはよく「先生、治るがかいね」と聞きますが、治る…のは治る。今言いました「環境」は運動したとか食べるものを変えたとかで良くはなります。しかしサボったらまた悪くなる。
皆さん、歯を磨くでしょう。ちゃんとしつければ歯を磨くようになりますが、サボったら虫歯になります。
同じです。手を抜いたら糖尿病は悪くなる。
糖尿病教室

なので皆さんには頑張って運動して食事を良くして頂ければいい。では、医者は何のために薬を出しているのか。
先ほどの話の「素質」。この素質というのはインスリンが足らない、あるいはインスリンの効果が悪い(一部作りすぎる人がいるんですが)というものですが、これは薬で良くできます。しかしこれは「足らないところを補う」もので、決して治してしまうものではありません。

糖尿病教室
一番良く使われるのはSU剤という薬です。いろんな種類がありますが、アマリールなんかが最近よく使われます。
更に最近出てきた薬でエクアとかジャヌビアというように、ご飯を食べた時の血糖の上昇に合わせてインスリンを出すのを助ける薬も出てきています。これはなかなかいい薬で、日本人は食後にインスリンが出るよう命令するものが足りない、ということが最近わかってきて、そこに作用します。
さらに女性で太っている人によく使うメルビンという血糖をあげない薬や、インスリンの効果を上げる薬があります。
これらは「素質」を少し良くします。「少し」ね。

では「環境」、食事や運動を補うものは? というと、最近こういう薬が出てきました。
αGI。これはご飯を食べた後の糖の吸収をゆっくりにする薬です。
運動がどう体に良いかというと、インスリンの効果を良くします。これを補うものとして、インスリンの効果をアップする薬、これはアクトスという薬が最近使われるんですが、このような薬があります。
じゃあ、薬を飲んどれば運動せんでもいいのか、食事を気にせんでもいいのかと思うかも知れません。しかし、薬の効果は食事療法や運動療法に代わるほど強くはないです。その1/3も効果があれば御の字です。結局はやらにゃいかん。
やっぱり、食事療法運動療法は基本です。
糖尿病教室
そうは言ってもなかなか大変で、自分が患者だったら食事療法も運動療法もそんなにはできないだろうと思います。だからやってる人は偉いんです。

食事療法や運動療法を基本として、お薬を加えて、でも治りきらん。ならなんでそんなこと(=治療)をするのか、ということを思うかもしれません。
HbA1cという糖尿病の人だったらよく検査しているものですが、これが7%以下になると、目が悪くなるのは10年経っても1割にしかすぎない。7%以上になると2割3割が目が悪くなるということが言われています。
たとえ治りきらんでも、50歳で失明するより90歳まで目が見える人生のほうがいいでしょう。なので一生懸命糖尿病の治療をするわけです。
糖尿病教室

先ほど薬は環境因子に取って代わるものではないと言いました。糖尿病には飲む薬以外にもインスリンがあります。
これも私は思い違いをしていました。
昔私は「インスリンというのは薬ではどうしても効かない状態になったときに注射して良くするものだ」と思っていました。これがインスリン治療の唯一の目的であると。
インスリンはできるだけ少なく使ったほうが良い、どうしても不足するぶんだけ、血糖で言うなら250mg/dl以上になったらちょっこ使おうか。そういう考えをしていました。
これも間違いではない。間違いではないんだけれど、インスリンは別の使い方をするようになってきた。、これも15年から20年前からですが、ヒト型インスリンが出てきて、インスリンをかなり打っても安全になってきた。
ココにも受けた方がおられると思いますが、「インスリン強化療法」という使い方です。
1日に3回から4回インスリン打って、血糖を十分に下げる。ちょっと気を抜いたら低血糖になるんじゃないかというくらい十分にインスリンを打つ治療法なんですが、この治療の意味を皆さんが誤解していたらいけないと思ってお話します。
糖尿病教室

昔は「あんたインスリン打ったんか、じゃあもう一生インスリン打たんなんわ」と、こういう言い方してきたでしょう? でも強化療法は生涯インスリンを打つだけの治療ではない。
1日に4回も5回もインスリンを打つ。その目的は血糖を良くするのみならず、自分のインスリンを出なくする。投与されたインスリンだけにする治療法です。
そうすることで自分の膵臓が休みを取れる。インスリンの出方を回復させることができる。
インスリンは、茶碗1杯のご飯を食べたらこれだけ出る、という簡単なものじゃありません。インフルエンザになったりしたらインスリンが必要になることもあるし、嫌な事を考えてもインスリンは必要になります。いろんなストレスで日々必要な量は変わります。それを的確に出すのを注射でやるのはなかなか難しい。
細かい調整をするために何回も打つのではなく、こうして(強化療法で)自分のインスリンを守ってやるということが大事なんです。これが病気やストレスの時に役立ちます。
糖尿病教室

ここでまたもや私は思い違いしていたんですが、「できるだけひどなってからでないとインスリンはやらんでいい」という考え方。そういう考え方を私はしていました。日本人やからもったいないと思っていた。
ところがそうではない。それは我慢させたらきっつい子に育つという昔の考え方です。
ですが膵臓は、インスリンの出方は鍛えられんのですわ。
だから休ませることが大事なんです。
疲れている所に栄養ドリンク5本飲んで頑張れ言うても皆さんできんでしょう。やっぱり限度がある。
そうじゃなくて、疲れたときに徹底して休ませる。そうすると、しばらくしたらインスリンの出方が回復するんです。
無理をして薬は飲まんとこう、インスリンもせんとこう、という考え方もひとつなんですけど、我慢したら結局は自分の膵臓が疲弊してしまうんです。
一休みさせるのも一つの考え。
食事療法も運動療法も一緒なんです。一生厳しくごちそうも食べずに食事療法を守るというのもありなんですが、ある程度の期間十分に休ませると、たまにちょっと悪いことをしても大丈夫になる。これも大事なポイントなんです。
日頃から良いコントロールをしておくということは膵臓を休ませて余裕を作ることになる。そうなると万が一の時に少し役立ちます。
糖尿病教室
こんなふうに膵臓は鍛えられんし、インスリンの出方は持って生まれたもので治してしまうものでもないけれど、上手に使って長持ちさせることが大事なんです。

さて、今までは糖尿病についての私の考え方、私が間違えていたことについて話して来ましたが、最後に腎臓の話をします。
糖尿病教室
腎臓というのはこの糸球体(しきゅうたい)というものが100万個集まってできています。片方100万個、両方で200万個。この糸球体というのは中で血管がくるくる~となっていて、ここでぎゅぎゅっとおしっこ作ります。
1日に100リットルのおしっこ作るんですが、100リットルもおしっこ作ったら1日に100リットル水を飲まないと脱水で死んでしまう、と思うかもしれません。しかし99リットルは再吸収といって体に戻るようになっているから、大丈夫です。
この100リットル作っているのが50リットルになると、体にだんだん毒素が残ってくる。20リットルになると毒素で症状が出ます。
この糸球体のくるくる~も血管なので血圧の影響を受けます。血圧が高いとだんだんとこの糸球体が潰れてきます。なので血圧を下げればいいと言うんですけど、この血圧は大事な働きもしています。この血圧がないとおしっこができないんです。糸球体の出口のところには調節弁があって締めることで中の血圧を高くすることができます。血圧をかけて毒素を押し出しているんですね。
この調節弁を開けて血圧を下げると、中の圧が下がって糸球体が長持ちします。
出口を開けて物の通りを良くする、つまり血圧を下げると一時的に糸球体の働きが十分ではなくなります。濾過量というのが減るんですけど、しかし糸球体に無理をさせないということがわかってきました。
ここが大事な所で、先ほども言ったように糸球体も鍛えられんのです。鍛えられないのであんまり仕事させないようにする。そのために、この出口を緩める薬が出てきたんです。
皆さんが飲まれているARBとかACEとかいう薬がそうなんですが、この薬を飲むと腎臓が悪くならない、透析しなくて良くなるぞという薬なんです。
ところがこの薬を飲むと、実を言うと腎臓は悪くなります。「あら腎臓悪くなるってどういうこと?」というと、先ほど説明した一時的に働きが十分でなくなるということです。決して良くする治療ではなく、長く保たせる治療。

ここで腎臓の機能と治療の効果を示すグラフを出します。
糖尿病教室
縦に腎機能、横に時間。普通糖尿病で腎臓悪くなると10年で透析になります。
腎機能がこんな風にだんだんと1年毎に(直線的に)落ちて行って透析になります。そこで先ほどのこの薬はいい薬やぞというのを出します。
この薬を出すと実は一回腎臓の力は落ちるんです(曲線の方)。落ちてくるんですけれども4~5年すると緩やかになります。治療している人の場合、ここからなかなか落ちんな~ということになる。
これが今、流行りのARBという薬なんですけど、これは先ほどいった糖尿病と一緒です。膵臓は鍛えられんから無理させんように長く持たせる。おんなじように腎臓も鍛えられんから無理せんように長く持たせる。
ということを理解して欲しい。
皆さんは「治る薬」がないかと言うけど、それはないんです。だけど持って生まれたものを長く持たせる。これが大事ですね。

さて、今日は透析の方も来られてます。透析になったらどう考えればいいか。実は、それまでの糖尿病が良かった悪かったというのはあんまり関係ないんです。
糖尿病教室
透析になってから長生きする人、どんな人が長生きするかというと、これは2年ほども前に報告されたんですけど、1番長生きする人は楽しみがある人です。
2番目。体力がある人です。食事療法で痩せてるだけではダメなんです。やっぱり適切な運動して筋力は必要なんです。そういう人のほうが長生きするんです。糖尿病で体力があるということは体を動かしていることで、それが大事。
大血管症という足の血管がだんだん脆くなる病気は、残念がら透析になると更に進みます。だから足を切らないで済むようタバコはダメ。
お薬は、先ほど言ったように医者も色々考えて出していますが、正しく飲んで下さい。
あと、1番の「楽しみがある人」と関係するんですけど、少々嫌なことがあってもへこたれないことです。これが大事。
これは予想外だったんです。糖尿病が悪くなって透析になると、ギアを入れ替えないといけなくなるんですが、それをうまく乗り越えて元気である人達は血の検査では全然差がなかった。血液の検査では、それまでの糖尿病歴ではわからなかった。
元気ハツラツ、見た目の元気が全て。だから私はいつも「血液検査も大事ですけど、楽しみを持つこと、体を動かすことがもっと大事や」と合併症が悪くなってきた人には言います。
悪くなる前の人には「あんたの持っとる膵臓と腎臓を、うまいことあと30年持たそう」と話します。

一般的な糖尿病教室で話される、何を何カロリ―とかどんな薬がどのくらいとかどういう運動でとかは、今後の糖尿病教室で色々な先生や職員から話をします。しかし糖尿病の理解として、「膵臓を長持ちさせる」「腎臓を長持ちさせる」ために薬や食事・運動療法があります。

私を始め、当院の医師は腎臓の専門家が多いですが、糖尿病は若い頃から慣れ親しんでいるので相談にのれます。糖尿病の治療経験もあります。
もちろん金沢大学病院の糖尿病専門医にも来てもらっています。この先生方は大学病院で難しいことばかりやってるのではなく、TeamDiET(チームダイエット)という活動で冊子を出してますし、へこたれない治療のお手伝いをします。
その他、医者の悪口が言えないことがないよう、看護師がいます。糖尿病療養指導士がいます。みなさんの悩みを聞きますし、相談に乗れます。
これら多くのスタッフでチームを作って治療することが大事なので、遠慮なく声をかけてください。
糖尿病教室様子

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☆ティータイム☆

お話のあと、おしゃべりティータイムとなりました。
お出ししたお茶うけは

商品名 カロリー(kcal)
パーフェクトプラスダイエットビスケット
黒ごま、プレーン(明治製菓)
3枚
50
ころあいサラダせん(グリコ)
1/3パック
13
マービー甘納豆(H+Bサイエンス)
1パック
20

飲み物は紅茶、コーヒー、番茶から選んで頂きました。
糖尿病教室ティータイム

参加いただいた皆様にはアンケートをお願いしました。
アンケート結果

  • テーブルの方々とそれぞれの方々の意見が聞けて良かったです
  • おいしゅうございました,おいしかった
  • 先生がとても親しみやすい先生でよかった
  • 楽しくおしゃべりができました
  • マービー甘納豆(マービーのあめは知っていましたが)大好きなのでうれしかったです
  • スライド画面が明るすぎ見づらかった
  • 昔の糖尿病教室で聞いたときよりだいぶ話が違っていたので聞いてよかった

今後取り上げて欲しい内容としては

  • 糖尿病患者とお酒の付き合い方etc
  • 検査値の見方や食事についても教えてほしいです
  • 正しい薬の飲み方(食前、食後、食間とか・・・)
  • 食事療法や運動療法なども取り上げてほしい。次回もぜひ受けたいと思います。
  • ヘルシー料理の指導及びレシピ表の案内

と言ったご意見がありました。できるだけご希望に沿いたいと思います。

お渡ししたお土産です。

商品名 カロリー(kcal)
フルーツインゼリー
または
おいしくビタミン
(ハウス)
1ケ
フルーツ:14
おいしく:9
ころあいサラダせん
または
ころあい醤油せん
グリコ
1パック
各40
マービー甘納豆 1パック
マービーカスタードプリン 1jケ
マービージャム(1食分用13g)
マービーキャンディ 1粒
マービー低カロリー甘味料 5g
マービー低カロリー甘味料液状 10g
H+Bサイエンス
20
50
20
5
10
16.5
 
ブイ・クレス ジュース 1本
ニュートリー
80
ノンオイルドレッシングサンプルセット
5袋入り
ジャネフ
21

今後も糖尿病教室は開催していく予定です。
病院インフォメーション、ホームページ、メールマガジンでご案内いたしますのでぜひご参加下さい。

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2012-02-17公開 2014-11-01改訂