みずほ病院

■第3回 糖尿病教室■

平成24年5月26日
金沢大学附属病院 内分泌代謝内科 TeamDiET 篁俊成医師

※今回はお話の前に血糖を測定、お話を聞きながらお茶とお菓子を食べていただき、約1時間後、お話が終わった頃にもう一回血糖を測って変化を見ています。

☆根性いらずのフィットネス☆

糖尿病の治療と言うと「血糖コントロール」と言われますし、そう考えがちです。
しかし血糖コントロールだけを頑張っても、動脈硬化などの合併症は必ずしも減りません。

血糖だけを見るのではなく、「生活習慣の改善」という視点が必要になります。

では具体的には?

  • 何を、どんなバランスで、どんな調理方法で食べればいいのか?
  • より血糖が上がりにくい食べ方がある?
  • 運動もジムなどでがっつりやらないとダメ? 足の悪い人はどうしたらいい?

患者さんの相談に乗り、こういった声を聞き、それに対する答えを考え探すことを続けて来たことで、生活習慣を改善する「方法=メソッド」をいくつか提供できるようになりました。

みずほ病院とTeamDiETでは以下を心がけてお話ししています。

生活指導の3か条

  1. 自分でできないことは提案しない
    ~自分に無理なことは他人にも無理~ (自分は酒を止められないんだし、患者さんにも止めろとは言わない)
  2. 具体的に提案する
    ~「食べ過ぎないように」では解決しない~
  3. できなかったからといって責めない
    ~5つの提案、1つできれば大成功~ (1つ提案してダメだとがっくりくる、いくつか提案して1つでも達成できればOK!)

食欲コントロールの9か条

「減らす」のではなく「加え」よう!

ではどのような生活改善を提案しているのか? というとこの9か条になります。

  1. バランス
  2. 食事時間を決める
  3. ゆっくりよく噛んで食べる
  4. 薄味にする
  5. 感覚中枢を刺激しない
  6. 時々語る(ストレスコントロール)
  7. できる運動から始める
  8. 記録する
  9. 三日坊主を喜ぶ

1.バランス

  • 品数多く、量を少しずつに
  • 汁物で満腹感を
  • 野菜でお腹いっぱい作戦
  • 糖質を少し減らしてタンパク質と脂質を増やす方がよい(腎臓が悪い人ではタンパク質に注意!)  おかずを増やす
  • 「ばっかり食べ」? 「三角食べ」?
    バランス良くご飯、汁物、主菜、副菜を交互に食べる「三角食べ」が推奨されていましたが、懐石料理のように、最初に野菜などを食べ、最後にご飯の方が血糖は上がりにくいのでは? まだはっきりとした答えは出ていません。
  • どちらにしても極端はダメ。主菜を空にしてからご飯、ではなく、「気持ご飯を後半に」
  • 減らすのではなく足す!  野菜を足す(透析の人ではカリウムなどに注意!)
  • ランチョンマットを足す  大皿でなく一人分を盛る。デザートも一旦ランチョンマットに載せて、それを後でおやつの時間に食べるのもOK!
  • ランチョンマットにはがっつり置かない。見た目も重視
      本が出てます
  • お弁当もバランス良く。主食:おかず=1:1、主菜:副菜=1:1にすればお弁当の容量=カロリーになります。
      これも本が出てます
  • もったいないの対象を変えてみましょう!
    子供の余り物などを食べてしまう  ペットにあげたり
    今目の前の「もったいない」と、そのためにかかるかもしれない「将来の治療費」ではどっちがもったいない?

2.食事時間を決める

  • だらだらでなく、朝昼夕きちんと食べる
    1回空腹を作る方が、長生きスイッチが入って良い。肝臓も脂肪化しにくい?
  • 絶食(特に朝食抜きは)は基礎代謝を落とす  例:お相撲さん
  • ご飯食べると汗を掻く  その効果は朝に強く、夜は弱い
    タンパク質は熱産生を高める  朝にタンパク質(豆腐や納豆)をしっかり取る

3.ゆっくりよく咬んで食べる

  • 歯ごたえのあるものを食材に入れる(蓮根、こんにゃく、キノコ、線維の多い野菜)
  • 骨を足す  骨付き肉にすることでボリューム感を!
  • しっかり噛める歯を維持する
  • よく噛むと満腹感が高まる  ノンシュガーのガムなどをおやつに取り入れてみては?
  • ゆっくり食べる  砂時計を置いてみる、食事の途中で休憩を入れる
    • 誰かと話しながら(家族)
    • 途中で新聞を読む
    • 箸置きタイム(もぐもぐする間、箸を置いてみる)

4.薄味にする

  • 塩分を減らすのはなにも血圧を下げるだけではない!  塩分が濃いとご飯がすすむ  薄味にすることで「適量で満足!」
  • 塩分を減らしにくいみそ汁  具だくさんにする
  • オリジナルのドレッシングを作る  市販品に「バルサミコ酢、レモン汁、オリーブオイル」などを足して薄める
  • サラダは香味野菜(ニンニク、生姜など)を加える
  • 甘い飲み物を炭酸水で割って飲む

5.感覚中枢を刺激しない

  • 目の前にあるものを我慢するのは難しい  おやつは目の届かないところに置く
  • 孫がいるから手近にお菓子がある  家族に協力してもらいましょう
  • 買い物は食後に行く
  • グルメ番組は空腹時に見ない(録画して食後に見る)
  • 皿を足す  一人分を個別に盛りつけ
  • 皿の形見た目や形も大事です  華やかさがUP、お椀の形で量も多く見える
  • 色も大事です  赤、オレンジ、黄色は食べ物をおいしそうに見せる、食欲が進む(飲食店の看板には暖色系が多い)
  • だから、寒色系(青~緑)の色を使えば・・・  食欲を刺激しにくい。食器やランションマットの色を寒色系にする
    ご飯茶碗の図

6.時々語る(ストレスコントロール)

  • ストレスを感じていると食事が増える(特に女性)  ストレスをできるだけ減らす
  • 人を足す  家族や友達、複数の人と食事をする
  • お互いの食習慣を指摘し合う
  • 没頭できる趣味を足す  暇もストレスになる(タバコに手が伸びたり、つい食べたりもします)

7.できる運動から始める

  • 運動は食欲を抑えます
  • 汗を掻くことだけが運動じゃない!  まず「座らない」、立つことから、まず1階分を階段で
    1. 家を掃除する、片付ける、ぴかぴかにする
    2. カメラを持って外に出る
    3. 万歩計をつける(気持が動く)
    4. いつもよりも遠くまで
  • まとまった運動にこだわらず、隙間時間を利用  街中がジム(お昼に散歩)  Team DiETのバランス生活実践新聞 TD EXPRESSでは「金沢さんぽ」を紹介しています
  • ながら運動  ペットボトルに水を入れてダンベルにしてテレビ見ながら筋トレ  筋肉トレーニングは特に高齢の方では大事です!、
  • 日常生活が運動の代用になる

8.記録する

  • 万歩計を持つだけで歩数が増える  気持が動く
  • 体重計に乗るだけでブレーキがかかる  時々測って3kg増えていると「あ~ ○| ̄|_」  まめに測るとグラム単位で「がんばって戻そう!」
  • 歩くことに意義を見つける  携帯やスマートフォンにゲーム感覚で歩数を記録できるアプリなんかがあります
  • 手帳に書く  「食べたもの」「歩数」なんでも書く
  • 1頁、または見開きで3日分書ける手帳  3日単位で帳尻を合わせてみる(食べ過ぎたなぁ~と思ったら3日単位で調整)

9.三日坊主を喜ぶ

  • 3日続いたことを喜ぶ、褒める
  • 3日坊主も10回続けば1ヶ月

☆その他・アルコール☆

  • コントロールが良ければ、缶ビール 350mlは許可してます。オールフリーのものを
  • 蒸留酒は血糖が上がりにくい
  • 純粋なアルコールで1日20gまで(アルコール5%のものなら400mlまで)

☆血糖測定結果☆

お菓子は和食と洋食のものを用意し、どちらかを選んで食べてもらいました。
糖質としては洋食が10g、和食が30g。この差が血糖値として反映されるか? と思われたのですが…。

結果は「明確な違いは出なかった」となりました。血糖の上がり具合の差は和洋ではっきり出ず、中には血糖値が下がった方も。個人差のほうが大きく出ました。

これは午後という時間帯の影響も考えられました。空腹ではなく昼食後であったため、血糖の動きとしては昼食の影響が大きく、今回ご用意したお菓子の糖質量ではあまり影響が出なかった、とも考えられます。

実験としての厳密さにはやや欠けるものではありましたが、面白い結果になったと思います。

☆アンケート☆

今回の糖尿病教室についてのアンケート結果です。

  • どうやったらHbA1cを下げられるか?教えてください

2012-11-23公開 2014-11-01改訂